せっかく家づくりをするのであれば、外装や内装を自分好みの雰囲気に仕上げたいと思うものです。家づくりを考えている人の中には、漆喰が気になっているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、古くから使われている漆喰は、風合いは良くても後悔に繋がるのではないか、という疑問も良く耳にします。
今回はそういった疑問を解消すべく、漆喰の家に関する特徴や、メリット・デメリットについて解説します。ぜひ、ご自分の理想の住まい像と照らし合わせてみてください。
漆喰の家について
漆喰とは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建築材です。漆喰には様々な組成の種類があり、石灰に石、砂、骨材、麻など地域によって混ぜ合わせる素材が異なります。
西洋では古代ローマやギリシャなどの紀元前時代、日本では縄文時代に使用されていたことが分かっており、古くから建築材に適した素材として現代まで使用され続けてきた歴史あるものです。
家づくりにおける漆喰は、壁の上塗り材や保護材、瓦止めなどの接着剤など使われ方も多様で、その柔軟性と機能性が現代までの建築に幅広く活かされています。
一般的には「漆喰=白」というイメージが定着していますが、顔料を加えることで様々な色合いを楽しむことができる点も、他の建築材と違った特徴の一つです。
珪藻土と混同されるケースもありますが、原料が全く違う別物ですので区別しておきましょう。
漆喰のメリット
古くから漆喰が家づくりに利用される続けているのには理由があります。それは漆喰のもつ建築材としての機能性で、以下のようなメリットが漆喰の特徴として挙げられます。
- 調湿・消臭・遮音の効果がある
- 高い耐久性と汚れにくさ
- 安全・安全な素材
- 抗菌性
- 火に強い性質
- やわらかな風合いや手触り
調湿・消臭・遮音の効果がある
漆喰には目ではほとんど分かりませんが、多数の細かい穴が空いており、これにより湿度の調整を行ってくれます。夏の湿気や冬の乾燥時期などに自然と湿度を整えてくれるので、四季のある日本にぴったりの素材です。
その他にも臭いの元を分解する消臭作用も期待できます。さらには、塗りこんだ漆喰は密度の高さと多孔質という面で、遮音・吸音性も優れています。
高い耐久性と汚れにくさ
漆喰は、長い期間を経ても大きな変化が見た目上ほとんど出ず、その耐久性の高さが魅力です。実際に、漆喰を多く使ったお城などの古い建築物が、今もなお残っているケースがあることからもその耐久性や自然劣化への耐性は理解しやすいでしょう。
また、漆喰は静電気をため込まない特性を持っており、埃やゴミなどが付着しにくいため、汚れにくいという点も特徴です。万が一、多少汚れてしまった場合でも、上から塗り直すことが可能です。
安全・安全な素材
自然素材である漆喰は、気になるシックハウス症候群の原因物質などを有害な物質を含まない建築材料です。幼い子供や高齢者、ペットなどのいるご家庭には最適な素材の一つです。
抗菌性
漆喰は水分が加わることで、強アルカリ性となり微生物の繁殖を抑制してくれます。これによりカビやダニなどの発生を低減させる効果があります。
火に強い性質
漆喰は、建築基準法の中で不燃材料として認められているほど、火に強い建築材として有名です。それ自体が燃えにくいだけでなく、屋内での火の広がりを抑えてくれるため、防災効果を期待できます。
万が一火が着いてしまっても、自然素材のため有害物質を発生させないという利点もあります。
やわらかな風合いや手触り
漆喰が用いられる理由として、機能面のみでなくその見た目も一つのポイントです。現代的な建築材とは違う、やわらかな風合いや色合いが特徴で、暮らしに落ち着いた雰囲気を生み出してくれます。手で触った際にも自然素材ならでは優しい感触があるため、思わずまた触れたくなるお気に入りポイントとして、広く親しまれています。
漆喰のデメリット
様々なメリットのある漆喰ですが、もちろん万能で完璧な素材というわけではありません。以下のようなデメリットがあることにもしっかりと目を向けておきましょう。
- 費用が高く工期も長い
- 施工業者の技術によって仕上がりに差が出る
- ひび割れの可能性
- 見た目を簡単に変えられない
- 汚れを拭き取ることができない
費用が高く工期も長い
自然素材かつ手間がかかるため、漆喰の主な使用箇所である壁材の場合、一般的なビニールクロスより高い費用がかかります。長持ちはするため、長期的にはコストは抑えられるかもしれませんが、施工時だけで見ると費用はクロスより大きくかかります。
また、貼るだけのタイプではなく、養生後に下塗りと仕上げ塗りをする必要があるため、必然的に工期も長くなる点には留意しておきましょう。
施工業者の技術によって仕上がりに差が出る
漆喰は塗りの作業が必須なので、施工業者や職人の技術次第で出来映えは変わります。漆喰の良さとして手塗りの風合いが挙げられますが、塗布技術によっては気に入る仕上がりにならない可能性も十分にありえます。
ひび割れの可能性
性質上、漆喰は経年によってひび割れてしまう可能性があります。施工環境や下地の影響を受けてひび割れる場合や、住宅自体が地震などで揺れてひび割れてしまうなど、原因も様々です。
極力ひび割れを防ぐという点においても、施工の技術が求められるため、信頼できる業者や職人の見極めができないと、将来的に後悔に繋がる可能性もあります。
見た目を簡単に変えられない
漆喰はクロスなどと違って、壁の見た目などを簡単には変えられません。どうしても表面に凹凸が出るため壁紙が貼れず、塗りこむために壁材自体の交換も難しいものです。
基本的に漆喰の外観とは、長く寄り添い続けていく前提で採用することが求められます。
汚れを拭き取ることができない
汚れにくい素材ではありますが、万が一汚れがついてしまった場合に、自然素材であるため汚れが浸透してしまって簡単に拭き取れない場合があります。
削るか上塗りで対応することになりますが、箇所によっては仕上げが難しいため、業者などに依頼しなければならないケースも想定されます。
漆喰の家で後悔しないためのポイント
漆喰のメリット・デメリットは上述のように明確です。
特にデメリットを見ると、費用がかかり後から変えるなどの対応が難しいといった難点が目立ちます。そのため後悔につながりやすいという側面も大きく存在しています。
漆喰の家を建てる場合に後悔しないためのポイントを整理すると、以下の内容に当てはまることが重要な条件になるでしょう。
- 漆喰独特の風合いにそもそも魅力を感じている
- 費用をかけてでも機能性を重視したい
- ものを大切に扱える
- 家づくりに関して様々な知識や情報を持った上での判断
漆喰は一時的な気分や勢いで採用するには少々ハードルが高い建築材です。聞こえの良い「自然素材」という言葉や安易なオシャレさだけで判断してはいけません。
逆に言えば強いこだわりや知識を持ち、住まいを愛して大切に扱っていきたいと思う方ほど漆喰の魅力はマッチするものです。
まとめ
古くから今でも使われ続けている漆喰にはそれだけの魅力や機能があり、漆喰を使った家には、他には無い味わいが生まれます。漆喰について十分に理解した上で採用する場合は、きっと満足度の高い住まいの実現ができるでしょう。
私たちラフェルムオンラインでは漆喰についてより深く知ってもらい、その良さに気付いてもらいたいと考えています。
また漆喰に限らず素材それぞれについて知ることは、家づくりの大きな助けとなります。ぜひこの記事のような形で、素材ごとに理解を深めていただければ幸いです。