人生の中で一番大きな買い物と言われるマイホーム。
一生に一度の買い物であるからこそ、「相場感」「年収で組めるローン」など、不安になることが多くああると思います。
今回は、「年収に対していくら借入できるのか?」 「住宅ローンにはどのような種類があるのか?」など、お金に関することをいくつかのポイントに分けて説明していきたいと思います。
家を建てられる年収は?
『自分の年収で家は建てられるんだろうか?』と思われる方は多くいらっしゃると思います。マイホームは一生に一度の買い物で金額が大きい為、不安に思われている方が多くいらっしゃるのは当然です。
ですが、年収300万円の方でも2,000万円程の借入が可能なのです!(他に借入金があるなど状況により金額は変わります)
後は、この借入金を返済することができるかどうかの判断になります。年収に対して幾ら借り入れが出来るかの目安を提示していきます。
年収によって借り入れ出来る額とは?
※計算根拠:フラット35 融資金利 1.3% 返済方法 元利均等にて計算(変動の可能性あり)
年収 | 借り入れ可能額 |
300万円 | 2,529万円 |
400万円 | 3,935万円 |
500万円 | 4,918万円 |
600万円 | 5,902万円 |
700万円 | 6,886万円 |
800万円 | 7,870万円 |
900万円 | 8,000万円 |
※フラット35の場合、借入金額の上限が8,000万円のため一定以上の年収で借入可能金額が固定されます。
最近はインターネットで簡単に借入可能額や返済額のシュミレーションを行えるサイトが増えていますので、そちらで一度検討してみるのも良いかもしれません。
マイホームを買うためにはどうすれば良い?
マイホームを購入するとなると、夢を膨らませて計画を進めると思います。
しかし、先にも書きましたがマイホームは一生に一度の買い物のため勝手が分からず、気がついたらメーカーさんの言う通りの物を付けてしまい、後々後悔してしまうことも少なくありません。
言われるがままに従ってしまうと、「金額的な後悔」と「物に対する後悔」をしてしまう可能性があります。
金額的な後悔
必要以上に高級なグレードのものを付けてしまったり、先の事を考慮せずに返済計画をたてて毎月の返済に苦労する場合などがあります。
物に対する後悔
デザイン優先で設計してしまい使い勝手が悪かったり、安価なものを付けてしまった為に後々のメンテナンスに手間がかかる場合などがあります。(この場合は金銭的な負担も発生します)
後悔先に立たずで、決して後戻りすることができません。
ですが、回避する方法は様々あります。
最近はSNSやHPで住宅を購入する際の注目ポイントや、気をつけておく点などを分かりやすく書かれている設計士やファイナンシャルプランナーの方もいらっしゃるので、そちらを参考にするのも良いでしょう。
周りで家を建てられた方がいるならその方に話を聞くのも一つですが、その場合は専門家では無いため自分のパターンを標準と思い込んで説明される事があるので注意が必要です。
家を建てる時、返済を年収の何%にするべきか
今までは『幾ら借入できるか?』の視点で説明してきましたが、次は『幾ら返済できるか?』の説明をしたいと思います。
一般的に住宅ローンの年間返済額の目安は年収の25%と言われています。
金銭的に余裕のある方でしたら毎月の返済金額を多めにして期間を短めにすることも可能ですが、一般的には25年〜35年の長期のローンを組んで毎月の返済金額をある程度抑えておくようにすることをお勧めします。
住宅を購入される時期は人により様々で、若い頃に購入される方もいらっしゃれば40代 50代になってから購入される方もいらっしゃいます。
単純に「35年ローン」と聞くと『自分はこれから35年間ローンを支払い続けなければいけないのか』と言う考えが先に立ってしまい、それが不安になって購入を躊躇される方もいらっしゃいます。
極端に書くと『ローン』=『借金』=『生活が不安』と言う考え方が根本にあるのではないかと思います。
ただ、生活していく上で必ず住居は必要になります。その住居が購入したものでなければ当然賃貸となり、その場合には『家賃』が発生します。
『家賃』はその家に住んでいる以上永遠に発生するため、払い終わりはありません。80歳になっても90歳になっても家賃は発生しますが、ローンは完済したら終わりです。
そこが購入と賃貸の差になります。
住宅ローン借入額は「返せる金額」を基準に
先に書いた『賃貸の場合は家賃を延々と払い続けなければならない』という事から賃貸から持家にされる方も多くいらっしゃいます。
ですが、返済額は当然『返せる額』でないといけません。
その際に返済額の目安になるのは現在の家賃です。できるだけ現在の家賃より低く毎月の返済金額を計画されることをお勧めします。持家の場合『固定資産税』などの税金やメンテナンス費用が別途発生するので、その分は必要となるからです。
それらの項目も合わせたトータルの金額が現在の家賃と同じか低ければ、いきなりお金の面で焦ることはないでしょう。将来的なお金のことも含め、ご自身で考えても不安が残るという場合はファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをお勧めします。
頭金として使えるお金を把握しましょう
先に書いた『ローン』=『借金』=『生活が不安』と言う考え方。
これがあるためできるだけ借入額を減らそうとして、自身の貯金を全て頭金に回そうと言う方もいらっしゃいますが、それはお勧めできません。
もちろん借入額が低く抑えられれば、その分最終的に支払う額も減っていきます。ですが、住宅を購入した場合はその購入費用の他にもいろいろな諸経費がかかってきます。
例えば『新しい家具を購入する』『引っ越し』『不要になった家具の廃棄』など直近で発生する費用や、もしもの時の予備費としてある程度のお金は手元に残しておいてください。
住宅ローンの種類
国土交通省発表の『平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査』(実勢の対象は平成28年)を見ると、新規に住宅ローンを組んだ人のうち約60%が新築物件の購入で約17%が中古物件の購入、残りが住宅ローンの借換えとなっています。
(参照:https://www.mlit.go.jp/common/001226959.pdf)
また、新規貸出分の金利タイプ別の割合は『変動金利型』が50%を超えており、次に『固定金利期間選択型』が約25%、『全期間固定金利型』は約7%となっており、残りは『証券化ローン』となっています。
変動金利型
5年ごとにその時の金利に応じて返済額を見直す方式(金利が大きく変わったとしても返済額はそれまでの額の1.25倍を上限として変化します※ただし、1.25倍を超えた額に関しては免除されるわけではなく繰り越される形となります)
固定金利期間選択型
3年 5年 10年 等期間を選択し、その期間の間は金利が固定される方式。固定期間が終了すると基本は変動金利となるが再度期間選択型にすることも可能(金利はその時点の率で見直される)
全期間固定金利型
ローンを組んだ時点の金利で最後まで支払い続ける方式で最初からはっきりと返済額が見える形。
証券化ローン
住宅金融支援機構が民間の住宅ローン債権を買い取り 証券化して投資家に販売する仕組みで『フラット35』が代表例、返済方法は『全期間固定金利型』と同じく支払額は固定。
返済期間は一般的には35年を最長としている場合が多くあります。
ローンを返済する場合、返済期間が長ければその分毎月の返済額を抑えることはできますが、完済した時の総支払額は金利がその期間分上乗せされるので高くなります。
実際に住宅金融支援機構が調査したところでは2018年度の『住宅ローンの貸し出し期間』の平均は26.7年となっています。
(参照:https://www.jhf.go.jp/files/400351738.pdf)
実際に25年以上30年以下を選ばれている方が全体の39.7%と最も多く、次いで30年以上35年以下の23.4% 20年以上25年以下が20.9%となっています。
また、ほとんどの金融機関では住宅ローンの返済が終了する時の年齢に上限を持っており、大体75〜80歳が上限とされています。
※職業や資産残高により変わります。
それとは別に最近では『60歳からの住宅ローン』などといった商品もあり、選択肢は年々増えています。逆に選択肢が色々と増えているため、しっかりと専門家に確認しながら計画を立ててください。
返済額のテストケース
Aさんファミリー(夫35歳 妻32歳 子4歳)
年収:550万円
科目 | 返済額 |
土地価格 | 1,500万円 |
建物価格 | 2,300万円 |
自己資金 | 500万円 |
頭金 | 200万円 |
諸費用 | 100万円 |
借入額 | 土地+建物-頭金=3,600万円 |
毎月返済額(ボーナス払い無し)
毎月:106,733円
年間:1,280,796円
返済総額:44,827,860円
3,600万円の内600万円分をボーナス払いとして負担した場合
毎月:88,944円
ボーナス月の返済額:106,961円
年間:1,282,250円
返済総額:44,827,860円
Bさんファミリー(夫28歳 妻26歳 子1歳)
年収:380万円
科目 | 返済額 |
土地価格 | 1,000万円 |
建物価格 | 2,000万円 |
自己資金 | 200万円(内150万円贈与額) |
頭金 | 80万円 |
諸費用 | 70万円 |
借入額 | 土地+建物-頭金=2,920万円 |
毎月返済額(ボーナス払い無し)
毎月:86,572円
年間:1,038,864円
返済総額:36,360,240円
2,920万円の内520万円分をボーナス払いとして負担した場合
毎月:71,155円
ボーナス月の返済額:92,699円
年間:1,039,258円
返済総額:36,374,030円
※上記内容はあくまでもシュミレーション上の目安としてご覧ください。
まとめ
今回はお金のことに主眼を置いてお話しさせていただきました。冒頭でお話ししたように、マイホームの購入は人生の中で一番大きな買い物にもかかわらず勝手がわからない方がほとんどです。
そのため、実際に住宅を購入された後にローンの支払いが賄えず折角のマイホームを手放されるという話も聞きます。そうならないためにも毎月の返済額の目安はあらかじめ決めておいてください。
私の経験になりますが、「予算はこれくらい」と金額を指定すると大体の場合それを少し超える額で提案してきます。その場合「上限はここまでです」キッパリと断れるなら別ですが、そうでない場合はある程度の余裕は見ておいた方がいいと思います。
夢のマイホームで快適に生活していくためにもお金のことはしっかりと考えていきましょう。