家庭を持つことなどをきっかけに、多くの人がマイホームを建てることを検討されます。家づくりは、人生において最大の買い物のひとつであり、重大な決断です。
しかし、この大きな決断は多くの人にとって『初めての体験』であるため、正しい判断を行うことは容易ではありません。
実際に、「家づくりで失敗した…」という話は珍しいものではないのです。
この記事では、そんな家づくりにおいて、失敗しないために知っておくべき最も重要なポイントをご紹介します。初めてのマイホームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
家づくりは『進める順番』が大切
家づくりの検討においては、いろいろな要素について考え、判断していく必要があります。
その中でも、家づくりを成功させるためにもっとも重要なポイントが、次の3つです。
- 土地
- 建物
- お金
土地が無くては家は建てられません。また、土地によって建てられる家の条件も変わってきます。
建物は生活スタイルに直結します。そこに住む人のスタイルによって、どのような建物とすべきかという最適解は、まったく異なったものになります。
そしてお金がなければ、理想の土地も建物も手に入れることができません。予算がなければ家づくりは成り立たないのです。言い換えれば、予算の規模によって家づくりの全体像が決定づけられます。
失敗しない家づくりは、上記の3つのポイントの『足し算』ではなく『掛け算』によって成り立ちます。
『土地』×『建物』×『お金』という式が必要であり、どれか一つでも欠けてしまう(ゼロになってしまう)と、家づくりは失敗する(ゼロになってしまう)ことにつながってしまうのです。
そして、この3つのポイントにおいても優先順位があり、考えるべき順番・進める順番というものがあります。結論から述べれば、まずは『お金』から考えることが何よりも大切なのです。
その理由についてご説明します。
『お金』を最優先に考えるべき理由
家づくりは、『人生最大の買い物』ともいわれています。生涯でもっとも『お金』について考えるべきイベントだ、ということです。
お金を基準にきちんとした計画を立てていないと、思わぬ事態に陥って、失敗してしまうことは大いにあり得ます。
そして家づくりの失敗とは、最悪の場合、「マイホームを手に入れたのに幸せじゃない…」、「せっかくのマイホームを手放さなければならない…」ということにもつながるなど、代償があまりにも大きく、後からの修正が難しいものなのです。
『お金』の部分を最優先せずに家づくりを進めてしまった結果、以下のような事態に陥るケースは、よくある例として挙げられます。
- 「理想の土地は購入できたけど、建物に使える予算は少なくなってしまったので好みの住宅メーカーに頼めなくなってしまった」
- 「好みの住宅メーカーに依頼したけど、土地の予算が限られてしまってなかなか希望の土地が見つからない」
このように、『お金』という現実よりも土地や建物などの『希望』から家づくりを進めてしまうと、なかなか思い通りにいかず、結局家づくりに疲れてしまったり、家族間でついつい言い合いになってしまったりするのです。
幸せなはずの家づくりが、このようなものであって良いはずがありません。
希望を叶えるための無計画なローンなどで、予算をオーバーして理想のマイホームを手に入れたとしても、ローン返済で常に余裕がなくなってしまうなど、理想の生活が送れなければ意味がないのです。
ローンの支払いが厳しくて、補填のために仕事に付きっきりになって帰りが遅くなってしまったり、それまで家に居た方がパートで働かなければいけなくなってしまったりすれば、家族で過ごす時間を確保できなくなり、せっかくのマイホームも本末転倒です。
だから家づくりにおいては、何よりもまず『お金』から考えるべきなのです。
お金から考える時のコツは?
お金から考えるようにしましょう、と言われても、初めての家づくりですから「考えるって、なに?」という方が多いことでしょう。
どのように考え、計算していくべきか分からない方は多いと思います。家づくりにおける『お金』の考え方について、コツをご紹介します。
月々の支払い希望額から逆算して総額を決めていく
家づくりを『お金』から考える方法における最大のコツは、住宅ローンの月々の支払い希望額から逆算して予算総額を決めることです。
総額を先に決めるのではありません。
家を建てる場合、一括での支払ではなくローンを組んで進めていくのが一般的です。そのため、ローンを組むことを前提として、月々の支払い金額をベースに予算を決めていくことが必要になってきます。
予算総額を決めるまでの流れとポイントは、以下のとおりです。
1.月々の支払い希望額を決める
マイホームの検討を始めたら、まず最初に住宅ローンの月々の支払い希望額を決めます。月々の支払希望額とは、すなわち借入可能額です。
自身の収入で借入が可能であり、かつ無理のない返済が可能な金額とはいくらであるのかを、綿密に計算して正確に把握しましょう。
このとき、返済の期間や金利についても考える必要があります。10年後には、家族構成や生活などに大きな変化があるかもしれません。金利は変動か固定かによって、最終的な支払い額に大きな差があります。
工務店などのプロに相談して、借入可能額シュミレーションを行いましょう。
何よりも、これが第一のステップです。
2.自己資金を決める
家づくりの資金を全額ローンで工面することもできますが、一般的には全予算の5%~10%を自己資金でまかなうことが、ゆとりのある資金計画につながるとされています。
ローンの月々の支払い額を決めたあとは、自己資金をいくら用意できるのかを確認します。
自己資金の割合が高い場合、金融機関によっては金利優遇制度が設けられていることもありますので、用意できる自己資金があれば積極的に検討しましょう。
3.援助金を確認する
家づくり予算をプラスアルファで拡大する要素として、両親や祖父母などからの援助金を得られる場合があります。住宅の購入時には、贈与税や相続税など、税制面での優遇制度が充実していますので、税制と併せて確認しましょう。
4.総額が決まる
上記の1~3を順に決定し、加算した金額が、あなたの家づくり予算の総額です。
『家づくり予算の総額=①住宅ローンの月々の支払い希望額(借入可能額)+②自己資金+③援助金』であると覚えておきましょう。
総額を先に設定してから支払い方法を考えるのではなく、支払い希望額から積立て式の思考で総額を導き出す、という点も忘れないでください。
まとめ
マイホームの家づくりで失敗しないために知っておくべき最も大切なことは、『お金』から考えることです。お金とは予算のことであり、予算総額は住宅ローンの月々の支払い希望額から逆算して決めていくことがポイントであるとご紹介しました。
このポイントを押さえるか否かで、家づくり失敗のリスクは減らすことができるでしょう。総額を先に設定して予算を考えてしまうと、月々の支払など生活水準に則したイメージができず、次のようなケースに陥りがちです。
総額から先に決めてしまう場合のリスク
- 「あくまで理想の総額」になりがちで実現可能性が伴わず、予算オーバーしやすい
- 無理な予算に合わせるため、予算内で取得できる土地が見つからず、土地探しに時間がかかる
- 予算に合わせて妥協や調整を重ねることにより、最終的にイメージと違うマイホームになりやすい
逆に、計算手順がしっかりとしていれば、各家庭の状況に合わせた予算組みが行えます。その後の家づくりの検討をスムーズに進められ、結果的には理想の生活に近付くことができるでしょう。
月々の支払いから逆算して総額を決める場合のメリット
- 土地探しに時間がかかりにくくなり、間取りを検討する時間が確保しやすくなる
- 予算配分が正確に把握できるため、好みのメーカーに依頼しやすくなる
- 無理のない返済で、家族で一緒に過ごす時間が確保しやすくなる
家づくりを検討するうえで、『お金』はもっとも重要な要素です。『お金』と正しく向き合うことができるかどうかが、家づくりの成功と失敗を決定付けると言っても過言ではありません。
計算が必要だったり、税制などを含めて考える必要があるなど、面倒な印象を持たれる方もいるかもしれません。しかし幸せな新居生活を送ることをイメージして、ぜひ前向きに、丁寧に検討してみてください。
また、家づくりのプロを上手に頼って、積極的に相談するなどして進めてみると良いでしょう。