木材不足で家が建てられない?ウッドショックの概要と対策、施主が取るべき行動とは

新型コロナウイルスは世界中で様々な影響を及ぼしており、住宅業界にも無視できない事態が生じています。世界的に木材が不足することにより、日本でも家が建てられなくなるかもしれなくなっているのです。

「ウッドショック」などと呼ばれるこの事態についてわかりやすく解説し、今まさに住宅を検討している方への影響や、どうすべきかなどについてまとめます。

世界的な木材不足「ウッドショック」の背景

ウッドショックと呼ばれる世界な木材不足の背景には新型コロナウイルスの影響があります。

各国で金融緩和策を講じたり、在宅需要の増加によって特に米国や中国などで一戸建てに対する注目が急激に高まったりしたことで、住宅の需要がここへきて急上昇しています。

さらに巣ごもり需要によって木工DIYが好調になっていることなどを受け、木材の価格が世界的に高騰しているのです。

また中国によるコンテナの買い占めも大きな影響を与えています。コンテナの流れが中国と米国航路に集中していることで、ヨーロッパから日本へのコンテナが確保できず、運賃の大幅な上昇につながっています。

世界的な木材不足の日本への影響は?

まず日本国内への集成木材の輸入量が大幅に減少しています。

日本の住宅に使う木材のほとんどは外国産の集成材です。この原料となるヨーロッパの木材が日本国内に入りにくくなっています。林野庁の公表資料によると、2021年1月の集成材輸入量は、前月比で+1%、前年同月比では-29%にあたる7万立法メートルであったとのことです。

さらに構造用集成材に限ると、前月比で-1%、前年同月比では-29%にあたる6万立法メートルでした。輸入量の前年同月比減は4ヶ月連続であるとのことで、この事態の影響の大きさや長期化の懸念が見て取れます。

 

 

輸入原料の不足により、国内のプレカット材工場は受注を制限し始めています。つまり、日本の住宅市場に供給されるプレカット材が減っているのです。

記事作成の2021年4月現在では「5月分までの材料はなんとか確保できている状態」、「6月の見通しは不明で在庫が尽きることも予想される」などといわれており、この事態がまさに日本の住宅市場を直撃することが懸念されています。

日本国内の構造用集成材生産量の約80%を占めている「日本集成材工業協同組合」の3月の発表によると「かつてないような価格高騰、入手難に直面」している状態であるといい、「5月以降は2割以上の減産を強いられる」可能性もあるとしています。

代替となる国産木材や無垢材は?

外国産の集成材の確保が難しいとなると、当然注目を集めるのは国内産材料や無垢材です。

ただし急な需要の高騰に対して供給が追い付いていない状態であり、もともと輸出もしていたことから、この度の事態の抜本的な代替策とはならないと見られています。

また外国産の集成材に依存していた住宅会社がやむを得ず無垢材へと切り替えていることから、無垢材についても在庫が尽き始めているという事態が生じています。

かつてないような価格高騰とは?価格推移の想定

価格の高騰は2021年4月から顕著になり、同年3月に比べて4月の価格は約120%に高騰することが予想されていることに加え、5月には130%、6月には140%と順次上昇していくと見られています。

この原材料の価格上昇が住宅の建築価格に与える影響については、「坪単価にして5000円~1万5000円ほどの上昇」、「建売価格にしての3%ほどの上昇」と予想する動きが見られています。

新型コロナウイルスの影響による一時的な状況ではあるため長期的には収束が期待できるものの、現時点では明確な見通しは立っていません。

いま住宅を検討している人の懸念事項は?

まずは建築工期のズレがもっとも顕著な影響になると考えられます。既に着工されて建築が進んでいる場合は心配はないかもしれませんが、2021年5月以降の着工になる場合は工期が延期になる可能性を十分に検討する必要がありそうです。

また同様に建築価格の高騰も視野に入れて検討する必要があります。建築時期によっては物件の規模やエリアによりながらも、3~4%程度、すなわち100万円~200万円程度の価格上昇が想定されます。

時期や価格に影響がない場合も、想定していた材料を使えないという事態も考えられます。

いずれにせよ、予定どおりの家づくりができなかったり、そもそも家が建てられなくなったりする場合に備えて検討を進めなければならないでしょう。

家づくりは急ぐべき?延期すべき?施主はどうすれば良いのか

この先の明確な見通しは誰にも立てらないことが前提になります。情報収集を怠らず、あくまでも都度の状況に合わせた最適な選択をする必要があることは間違いありません。

たとえば直近で検討している方は、今後の値上げを見越して早めの決断をしたほうが良いかもしれません。一方で中長期的に検討する方は、時期や価格を考慮して当初の想定よりも少し延期したほうが良いかもしれません。

ただしこの事態は上述のとおり新型コロナウイルスによる一時的なものです。長い目で見ればいずれかは木材の価格が下落する可能性は十分に考えられます。焦ることなく、デマや煽り情報に踊らされないように注意して、常に客観的な意見や情報を集めることを心がけましょう。

まとめ

新型コロナウイルスの影響の範囲は計り知れず、また新たな懸念が生まれています。

ただしこれまでも様々な商品や資材等が「不足する」と騒ぎになったことがありましたが、いずれも中長期的には解決したり、代替策が見出されたりして最悪の事態は避けられているかと思います。

この度のウッドショックが最終的にどのような形に落ち着くかは分かりませんが、とにかく焦らず冷静に、客観的な情報収集に務めましょう。

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