家づくりの概算予算を把握!確認すべき4つのポイント

「私の理想の住まい、実際に建てたらいくらになるんだろう?」

家を建てようとすればお金がかかります。そのお金がいくらになるのか、考えてみたことはありますか?

「ある」という方は、その中に付帯工事費用や保険料や登記費用などは含めていましたか?

「想定していなかった費用のせいで予算オーバーになり、理想の家が建てられなかった」

こんなよくある失敗に陥らないよう、この記事で家づくりの概算予算を把握する上で考慮すべき要素を整理します。

家づくりの概算予算とは?なぜ把握することが重要なのか

ここでいう家づくりの概算予算とは、家を建てる上で発生する費用をすべて含めた大まかな費用総額のことです。最終的に確定する実費は当然ながら細かな調整によって上下しますが、概算予算を軸に考えることでより正確な資金計画を立てられるようになります。

概算予算を考えるべき主な理由は、「想定外の出費」をできるだけなくすためです。

特に初めて家づくりをする方だと「そんなところにお金がかかるなんて知らなかった」ということがたくさん出てきます。最初から費用の全体像が見えていれば、それだけ計画はスムーズに進み、理想の住まいは実現に近付くことになります。

家づくりの概算予算を把握するために行うべきこと4選

家づくりは多くの組織や人が関わって行われるため、想定を超える大小様々な領域で費用が発生します。そのすべてを事前に100%網羅することは難しくても、特にインパクトの大きいポイントを押さえておくことはできます。

ここで家づくりの概算予算を決定する上で特にインパクトの大きい4つの検討要素を整理します。次の4点をあらかじめ把握しておけば、家づくりの予算が想定を大幅にオーバーしてしまうような事態はかなり避けられるようになります。

  1. 建物の大きさの目安を把握する
  2. 土地希望エリアの金額の相場と大きさの平均値を知る
  3. 付帯工事の必要有無を知る
  4. 諸費用を把握する

 

建物大きさの目安を把握する

まず始めに考えるべきは、建てたい家の大きさ・広さです。「だいたいこのくらい」という推量では現実的に必要な大きさと乖離するケースが多く、ライフスタイルから逆算するように以下のようなポイントに分けて計算することでより正確な概算値を知ることができます。

 

家族一人当たりに必要な坪数

部屋の数を考えたことはあっても、家族の人数から必要な坪数を考えたことのある方は少ないでしょう。

しかし家族は自室だけでなく当然ながら共用のスペースも使うことになり、このスペースの居心地やスムーズな動線を保つには人数に応じた面積を確保する必要があります。この快適さを保つ指標が、「7〜9坪/人」です。

これはあくまで「必要」な坪数ですので、あとは予算や好みに応じて広くすることを検討します。

 

階数

必要な坪数が分かったら、続いて家の階数を考えます。この次に紹介する土地のポイントと併せて検討すべき要素であり、購入予定の土地では一階あたりどのくらいの面積を確保できるのかをベースに必要な階数を導きます。

坪数が同じであっても、平屋・2階建て・3階建てなど階数によって坪単価が変わります。

 

希望の商品の坪単価を把握する

家を建てる住宅会社(ローコストビルダー・工務店・大手ハウスメーカーなど)によって、そして商品によって、住宅の坪単価は大幅に異なります。

ローコストビルダーと呼ばれるものでは30~40万円/坪のところもあれば、大手ハウスメーカーでは90万円/坪を超えるものもあります。インターネットで調べるか、希望する住宅会社に問い合わせてみてください。

このときに注意すべきは「本体工事費にどこまで含まれているか」という点です。会社によって設計費用や仮設工事費などは別途発生するケースがあります。「本体工事費用はいくらか、何が含まれていて何が含まれていないか」という観点で確認しましょう。

 

1FにLDK以外の居室がほしいか考える

2階建て以上の住宅の一般的な設計では、一階部分の居室としてLDK以外を設けるケースは稀です。しかしライフスタイルによっては「家族と距離の近い一階に書斎がほしい」、「趣味の観葉植物を楽しむために一階にコンサバトリーをつくりたい」という希望も出てくるでしょう。

その場合は費用に影響します。たとえば1階の床面積が2階よりも大きくなる場合、基礎工事費用や屋根工事費用は「総2階(1階と2階の床面積がほぼ同じの構造)」の場合よりも高くなります。

 

土地希望エリアの金額の相場と大きさの平均値を知る

「土地の制約のせいで理想の家が建てられなかった」というのは本当によくある話です。

土地によって建てられる家の条件が大きく変わりますので、理想の住まいを描く上では必ず並行して土地の具体的な検討を行う必要があります。

「必要な面積の土地は高すぎて買えなかった」
「必要な面積の土地が売りに出ていない」

このような事態を避けるため、以下の2点を必ず先に確認します。

 

ポータルサイトなどを活用して坪単価の相場を知る

SUUMOなど、住宅関連の情報を集約したいわゆる「ポータルサイト」を活用すれば、購入を検討しているエリアの土地の坪単価相場をカンタンに知ることができます。

>SUUMO「全国の土地価格相場情報」

 

希望エリアに売り出し中の平均的な大きさを把握する

住宅用の土地面積として一般的な坪数は、概ね35~40坪です。先述の「家族一人あたりに必要な面積」に、3~4人をかけた計算です。

同様の面積を求めている場合、探すのは比較的容易で立地の選択肢も多くなります。一方で平均よりも小さかったり大きかったりする土地は売りに出ている数が限定的であり、立地の選択肢が少なくなる傾向があります。

上記のようなポータルサイトなどでどんな面積の土地が売りに出ているか確認できますので、自分の理想の住まいに必要な面積の土地がそもそも手に入りそうかどうか、先に確認しましょう。

 

付帯工事の必要有無を知る

住宅の本体工事費や土地の価格などは、どなたでも想定しやすい項目です。しかしここで述べる付帯工事費や、次に説明する諸費用の領域になると、ほとんどの方は想定していなかったり正しく計算できなかったりします。

まずは付帯工事について、6つのポイントに分けて説明します。

 

地盤補強工事の予算を算入しておく

希望する土地が決まったら、その土地が建物を支えるのに十分な強度を持っているかどうか調べる必要があります。これは地盤調査などと呼ばれます。

調査の結果、強度が不十分だと判断された場合、地盤補強工事(地盤改良)という工事を行う必要があり、この費用は家を建てる施主が負担することになります。

調査にはだいたい5万円くらいかかり、補強工事が必要な場合は80万~120万円くらいの工事費が発生することになります。

 

外構工事の予算を算入しておく

住宅本体の外側で必要な工事のことを外構工事(エクステリア工事)といいます。たとえばフェンス、門、駐車場などを検討している場合、その設置工事費は本体工事費と別に発生します。

選ぶ商品や構造によって価格は大幅に異なりますが、概ね以下のような価格帯が一般的です。

  • フェンス…1mあたり2~3万円
  • 門…30万円
  • 駐車場…1㎡あたり5,000~10,000円(地面のコンクリート敷設費用)

 

上水道が敷地内に引き込まれているか確認する

土地によっては上水道が引き込まれていない場合があり、この引き込み工事を行う際の費用は施主が負担します。

水道管を1m引き込むのに1~2万円ほどかかるのが一般的で、水道本管から敷地内までの距離が10mであれば10~20万円の費用がかかります。

 

下水道の有無(無しの場合 合併浄化槽の予算をいれる)

上記と同様に、下水道の有無も土地によって確認が必要です。下水設備は下水道管を引き込む方法と合併浄化槽を設置する方法の2つがあり、地域や土地によって必要なものが異なります。いずれの場合も上水道と同等の工事費が発生します。

 

土留め工事が必要か

たとえば傾斜にある土地の場合、高低差を埋める工事を行います。このとき土砂が流れたり崩れたりしないようにする工事のことを土留め工事といい、不要な場合と比べて費用がかかります。

規模や方法によりますが、概ね1mあたり1~2万円が一般的です。

 

解体工事、伐採工事等、更地にするために費用はかかりそうか

既存の建物が建っていて解体が必要な場合や、樹木の伐採等が必要な場合、その費用も別途発生します。

エリアや構造などによりますが、木造戸建て住宅の解体費用は3~5万円/坪程度、樹木の伐採費用は1~3万円/本程度が一般的です。

 

諸費用を把握する

特に初めて家を建てる場合、もっとも想定が難しいのが諸費用です。建物、土地、融資など領域ごとにそれぞれ細かく発生します。

代表的な諸費用とその一般的な料金帯をまとめると以下のとおりです。すべての諸費用が必ず発生するわけではないため、まず自身のケースで検討が必要かどうかの確認をするところからスタートします。

 

【建物】

  • 火災保険…30万円
  • 建物登記費用(表示・保存登記)…20万円
  • 請負契約印紙代(※)…1~3万円程度(契約金額による)

※請負契約印紙代:記載金額が100万円を超え、令和4年3月31日までの間に作成される契約書については軽減税率が適用されます。詳しくは国税庁のウェブサイトでご確認ください。

>国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置」

 

【土地】

  • 仲介手数料の有無…税抜きの売買代金×手数料率+消費税(不動産会社による)
  • 土地登記費用(所有権移転登記費用)…15~20万円(土地の評価額による)
  • 売買契約印紙代(※)…2千円~3万円程度(契約金額による)
  • 水道加入金…20万円(自治体による)
  • 受益者負担金…1㎡あたり430円程度

※売買契約印紙代:記載金額が10万円を超え、令和4年3月31日までの間に作成される契約書については軽減税率が適用されます。詳しくは国税庁のウェブサイトでご確認ください。

>国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

 

【融資】

  • 取扱手数料…3万~5万円
  • 保証料または手数料…借入額や返済期間による
  • 登記費用(抵当権設定費用)…住宅ローン借入額✕0.4%
  • 契約印紙代… 1,000万円超5,000万円以下の場合 20,000円(契約金額による)

まとめ

家づくりの概算予算を知る上で検討が必要な4つのポイントとして「建物の大きさ」、「土地の相場」、「付帯工事」、「諸費用」がインパクトの大きいものであることをお伝えしました。

100%正確に算出しようとすれば手間も時間もかかりますが、上記に従って検討すれば概ねの概算予算は把握することができます。

とはいえ特に初めて家づくりをする方には計算も難しく検討も手間だと思いますので、気軽に相談できるパートナーに依頼することをおすすめします。