30坪の注文住宅を建てる時の相場価格とは

注文住宅を建てる上で必ずチェックするのが坪単価ではないでしょうか。 坪単価といってもエリアによって大きく金額が変わりますので、家を建てたいエリアの相場感を確認しておくことは非常に重要です。

後ほど図でご紹介させて頂きますが、エリアによっては30万円以上もの開きが出てきます。

例えば、30坪の家を購入するとして坪単価あたり30万円の違いがあると900万円(30坪x30万円)も建築費用が高くなるのです。 この記事では、30坪あたりで注文住宅を建てようと検討している方向けに、エリアごとの相場感をご紹介できればと考えております。

エリア別 注文住宅の平均坪単価を確認しよう

坪単価といっても、建築するエリアによって価格は大きく異なります。 エリア別で平均の坪単価を見てみましょう。

北海道、東北地方:75万円~85万円
北関東:約80万円
南関東:90万~105万円
中部地方(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県):約80万円 (長野県・岐阜県・静岡県・愛知県):約85万円
近畿地方・中国地方:85万~90万円
四国地方・九州地方:80万~85万円
沖縄県:89万円

上記でわかるように、同じエリアでも南関東など都心部に近づくにつれて坪単価は上がる傾向があります。

下記は、フラット35の提供などを行っている住宅金融支援機構が発表している県別平均坪数と平均坪単価になります。(https://www.jhf.go.jp/about/research/H29.html の注文住宅より引用)。

  平均坪数 平均坪単価(万)
北海道 41 78
青森県 40 73
岩手県 40 79
宮城県 41 81
秋田県 40 76
山形県 43 76
福島県 41 85
茨城県 38 84
栃木県 39 81
群馬県 37 81
埼玉県 38 90
千葉県 38 89
東京都 38 103
神奈川県 39 95
新潟県 40 79
富山県 41 75
石川県 41 80
福井県 41 81
山梨県 39 80
長野県 39 86
岐阜県 39 86
静岡県 40 87
愛知県 40 89
三重県 37 85
滋賀県 39 90
京都府 37 86
大阪府 39 91
兵庫県 38 88
奈良県 40 86
和歌山県 36 87
鳥取県 38 87
島根県 31 91
岡山県 38 87
広島県 38 85
山口県 35 91
徳島県 37 84
香川県 38 84
愛媛県 37 82
高知県 36 84
福岡県 39 84
佐賀県 41 82
長崎県 38 82
熊本県 40 82
大分県 38 82
宮崎県 35 81
鹿児島県 35 81
沖縄県 39 89

この坪単価はフラット35を利用した住宅に対する平均値であるため、あくまで目安として考えましょう。

注文住宅を建てる時の建築費用の平均価格とは

続いて、住宅金融支援機構が発表している県別の建築費用をご紹介していきます。

  建築費用
北海道 3,219.80
青森県 2,908.60
岩手県 3,127.50
宮城県 3,327.90
秋田県 3,061.50
山形県 3,252.10
福島県 3,480.60
茨城県 3,207.30
栃木県 3,144.30
群馬県 2,984.10
埼玉県 3,459.30
千葉県 3,372.90
東京都 3,934.70
神奈川県 3,698.60
新潟県 3,165.70
富山県 3,074.40
石川県 3,274.20
福井県 3,321.70
山梨県 3,080.50
長野県 3,327.90
岐阜県 3,316.10
静岡県 3,431.10
愛知県 3,576.70
三重県 3,164.20
滋賀県 3,517.50
京都府 3,215.30
大阪府 3,513.40
兵庫県 3,378.10
奈良県 3,438.60
和歌山県 3,164.40
鳥取県 3,360.20
島根県 2,812.80
岡山県 3,318.30
広島県 3,250.50
山口県 3,191.40
徳島県 3,127.10
香川県 3,188.40
愛媛県 3,033.60
高知県 2,994.70
福岡県 3,297.90
佐賀県 3,358.40
長崎県 3,098.60
熊本県 3,319.50
大分県 3,156.20
宮崎県 2,865.90
鹿児島県 2,824.10
沖縄県 3,434.20

建築費用に関しても、都心部である、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府などは、3,500万~4,000万円程度と、他県よりも高くなる傾向があります。

建物の延床面積の広さによる建築費用の違い

30坪の建築費用

30坪の建築費用の平均相場は、約2,580万円です。住宅支援機構のデータによると、全国の平均坪単価は、約86万円です。よって30坪 × 86万円 = 2,580万円となります。

これはあくまでも平均値であるため、ローコスト住宅を選べば、1,200万~1,500万円程度でも建てることは可能ですし、平屋や素材や仕様にこだわりを持つ人であれば、3,000万円を超えることもあります。

40坪の建築費用

40坪の建築費用の平均相場は、約3,000万円です。坪単価から計算すると、約3,440万円ですが、一般的に坪単価は低くなる傾向があります。

これは、キッチンやユニットバスなどの設備が高額であるためです。例えば、キッチンやユニットバスは1坪程度の大きさですが、それぞれ、100万円近くかかることがあります。

建材に加えて、キッチンやユニットバスの費用もかかるため、平均坪単価の86万円よりも高額になります。よって、狭い延床面積だと坪単価は上がりますし、広い延床面積だと坪単価としては下がります。

50坪の建築費用

50坪の建築費用の平均相場は、3,500万~4,000万円程度です。50坪の延床面積だと、2世帯住宅を建てる人もいるため、キッチンやユニットバスなども2つ設置することが多くなります。

その場合、平均相場も上がる傾向があります。 上記の坪数ごとの平均相場は施工会社や仕様のグレードによっても大幅に変わりますので、あくまでも参考としてください。

次では、実際に工務店・ハウスメーカーで建てた場合の坪単価の相場をお伝えします。複数社をピックアップして紹介しますので、より具体的な相場のイメージがつかめると思います。

工務店・ハウスメーカーごとの坪単価の相場

坪単価は施工業者によってかなり違ってきます。これは建築に使用する部材や建築方法、人件費、広告費など、力を入れている費用が会社によって異なるためです。CMなどの広告を行なっている会社はCMにかかっている広告費が建築費に乗っていると考えて良いでしょう。

ハウスメーカーの坪単価

住宅展示場などで見かけるハウスメーカーの坪単価を下記に記載します。会社の特徴も一言コメントを記載していますので参考にしてください。

ハウスメーカー 坪単価(円) 特徴
積水ハウス 70~80万 建築実績や売上高ではトップメーカー。制振装置の「シーカス」と空気をキレイにする「エアキス」が強み。
大和ハウス 55~80万 天井高を2m72㎝まで高くできる「ジーヴォシグマ」に力をいれている。
旭化成ホームズ (へーベルハウス) 70~80万 独自の軽量気泡コンクリートを採用し、耐震性、耐火性を高くしている。安心・安全の家が特徴。
住友不動産 50~70万 高層ビルや高級マンションを手がけていることもあり、注文住宅にもキッチンなどの設備は高級マンション同等の設備が入れられる。
住友林業 80~90万 木造住宅に特化したハウスメーカー。ビッグフレーム構法が強みで自由な設計が可能。
タマホーム 40~60万 他のメーカーと比べる低コスト。キッチンなどの設備を大量購入することと、オペレーションの効率化で低価格を実現。
パナソニックホームズ 70~80万 パナソニックの子会社のハウスメーカー。スマートハウスなどの最新技術の導入が可能。
セキスイハイム 65~75万 住宅建築の大部分を工場で生産するため、品質が高いのが特徴。
一条工務店 65~70万 「家は、性能。」とうたっている通り、高気密・高断熱の評判が良い。全館床暖房も採用率が90%以上と人気。

ここでは、有名なハウスメーカーを例に挙げましたが、中堅メーカーやローコストメーカーなど様々ありますので、予算にあうハウスメーカーを探しましょう。

次の章では、工務店を数社紹介し、坪単価と特徴をまとめました。施工業者を選ぶための参考にしてください。

工務店の坪単価

続いて工務店の坪単価を下記に記載致します。 関東地方の工務店を数社挙げていますが、地方によっても坪単価は異なりますし、工務店の特徴によっても坪単価は差が出ますので参考としてイメージをつけて頂けたらと思います。

工務店 坪単価(円) 特徴
REGARD 55~80万 高気密・高断熱の家を、アトリエ建築家とともに実現。コストパフォーマンスに優れた家を設計。
ハウステック 65~85万 デザイン住宅が得意。大工出身の社長がこだわりを丁寧に形にしてくれる。
TAINN DESIGN 60~100万 良質な住まいづくりに欠かせない質の高い資材を低価格で仕入れ、高品位な企画設計から施工、管理までを社内で手掛ける「完全一貫自社生産体制」が特徴。
オモシロ設計集団 ecomo 53~80万 横浜・湘南の地域気候に合わせたパッシブ設計&デザイン設計を得意としている。「自然素材の家づくり」をローコストで提案している事も特徴。
サートンホーム 40~47万 「一棟入魂」の情熱で確かで妥協のない家づくりを行う。元大工の社長が職人も精鋭を集めている。
三陽工務店 36~51万 独自の「壁体内通気工法」で結露とカビの発生を抑制する。夏は熱くなった空気を外に排出し、冬は蓄熱する構造躯体を標準採用している。
エーセンス建築設計 60~80万 自然素材をふんだんに使用することで、森林浴をしているかのようなぬくもりを感じられる家づくりが特徴。デザインにもこだわりがある。
スタジオ・チッタ 52~84万 デザイン・設計を担う建築デザイナーが、打ち合わせからインテリアの提案まで一貫して行う独自のスタイルが特徴。施主の意向を探り「自分らしさ」を実現してくれる。
家工房 60~80万 施主のライフスタイルを最も優先にした家づくりが特徴。暮らしやすさを考えた設計も強み

次の章では、注文住宅の費用を抑えるポイントをいくつか紹介します。

注文住宅の価格費用を抑える秘訣

仕様や設備を調整する

一つ目の秘訣は、仕様や設備を調整することです。

例えばキッチンを標準仕様からグレードを上げると、数十万円くらいはアップします。参考までに、LIXILのキッチンを例にあげます。

工務店などで標準仕様とされることが多い「アレスタ」は67万~140万円です。それに対してグレードアップした「リシェルSI」だと80万~200万円です。それぞれの定価の中間値を比較しても、100万円と140万円で40万円の差があります。

多くの工務店では標準仕様の方が割引率が高いため、さらに費用に差が生じることがあります。 住宅の仕様も地震対策として、耐震等級をあげるように変更したり、制振性を向上させるために制振ダンパーを追加することも数十万円単位で費用がアップします。

その他にも断熱性を向上させるために断熱材のグレードをあげたり、換気設備のグレードをあげることも大幅な増加につながります。

とはいえ、価格を抑えるために住みたい家を作れなくなってしまっては、せっかくの注文住宅が台無しです。費用をかけたいところは「どこなのか」を明確にして、メリハリをつけることが、満足する家づくりをするために重要です。

私の場合は、キッチンやユニットバスなどの設備は数十年で交換が必要になるため、家本体に費用をかけました。具体的には下記です。

  • 夏は涼しく、冬は暖かく過ごしたかったため、高気密・高断熱にしました。窓ガラスとサッシの性能をあげ、断熱材を厚く入れました。また、気密シートを使用して高気密にしています。
  • 建材は集成材ではなく、無垢材を使用しました。

複雑な形状の建物にしない

二つ目の秘訣は、複雑な形状の建物にしないことです。例えば下記のような形状にすることです。

  • バルコニーや玄関などを丸みを帯びた形状やアーチ状の屋根などを作る。
  • 屋根を段違いに複数の場所に付ける。
  • リビング一面に大きな窓を設ける。
  • 階段の形を螺旋にしたり、中二階などを設けるような内装にする。

デザインに凝りすぎて、複雑な形状にしてしまうと、費用は増大する傾向になります。

外観の凹凸などをできるだけ少なくする

三つ目の秘訣は、外観の凹凸をできるだけ少なくすることです。凹凸をつけることで、外観のデザインに変化を付けることができます。ですが、凹凸が増えると、外壁の面積も増え、複雑な形状を作るための作業工数もかかるため価格が上がりやすいです。

外観のデザインもメリハリを付けて複雑にしすぎない事が重要です。 ただし、凹凸によって価格が増えるかどうかは、ハウスメーカーによっても異なる場合があるので施工業者に確認が必要です。

私が見積りを依頼した時は、積水ハウスの場合は凹凸の数によって費用が変わることはなく、延床面積で基本料金が変わりました。一方、住友不動産の場合は、外観の凹凸の数によって、費用が変動する料金体系になっていました。

同じハウスメーカーであっても、営業所やプラン、営業マンなどによって、凹凸数を見積りに反映するかは変わることがありますので、見積りを依頼した際には確認をお勧めします。

水回りを集中させる

四つ目の秘訣は水回りを、近くの場所に集中させる事です。キッチン、トイレ、お風呂はできる限り近くに集中させると費用を抑える事ができます。

水回りが離れていると、その分だけ配管を伸ばす必要が出てきます。配管が伸びればその分だけ資材の費用も工事費用も上がってしまいます。水回りを集中させると家事導線も効率が良くなるメリットもあります。

まとめ

注文住宅を建てるうえで必ずチェックする坪単価について述べました。参考になりましたでしょうか? 今回の内容をまとめると下記になります。

  • 全国の平均坪単価は86万円で、都心部は平均よりも高額になる傾向があります。
  • ハウスメーカーと工務店を数社ずつ取り上げて坪単価と特徴を紹介しました。施工業者によって様々なので自分たちのイメージとあう業者を見つけることが大事です。
  • 注文住宅の費用を抑える秘訣を4つ紹介しました。外観のデザイン・設備の仕様によって費用が大きく変わるのでメリハリを付けることが大事です。また、間取りも水回りを集中させる工夫をすると費用を抑えられます。

この内容を読んで、注文住宅を建てる時の予算感をつかんでいただけると嬉しいです。