【設計士が語る】漆喰壁を採用するメリット・デメリットを徹底解説

ラフェルムでは、「フランスの片田舎に佇む農家」をコンセプトとした家づくりをご提供しています。このコンセプトにおけるもっとも特徴的な点のひとつとして、「漆喰を塗りこめて作った壁へのこだわり」が挙げられます。

南フランスの郊外で多く目にする白く美しい漆喰壁の家々。漆喰には他の素材に無い特有の魅力があり、漆喰壁が好きという方も少なくないかと思います。

そんな漆喰には、自然素材特有の特性や、採用するメリット・デメリットが存在します。

この記事では、そのような漆喰壁の知っておくべき知識を整理してご紹介します。漆喰に興味があるという方には、きっと役立つ内容です。

ぜひご覧になってください。

漆喰とは?

漆喰とは、消石灰(水酸化カルシウム)を主な成分として、粘土などを練り合わせて作る素材のことです。多くは壁などの建築に用いられています。

世界各地で使用されていますが、地域ごとの住宅様式や気候や風土によって作り方などが異なっているため、ひとくちに『漆喰』と言っても様々なものがあると理解しておきましょう。地域によって独自の発展をしている稀有な建築素材と言えます。

ちなみに、日本では蔵や城壁、古墳などにも使用されており、世界的に見ても歴史の長い建築素材です。

見た目としては基本的には白い色が多いのですが、混ぜ合わせる素材によっては少し違った色などのものも存在します。また、近年では顔料を混ぜてカラフルな漆喰壁などを採用するケースもあります。

色以外でも、手塗りによる独特な風合いや手触りが魅力的で、塗り方によってもその印象は様々に変化します。有機的な素材だからこそ感じられる柔らかさやあたたかみも魅力の一つと言えるでしょう。

漆喰は珪藻土とは違うのか?

同じ自然素材である珪藻土と漆喰を混同される方もいらっしゃるので、簡単に珪藻土の特徴もご説明しておきます。

珪藻土は藻の仲間である珪藻が海などの底で堆積し化石化した素材で、漆喰とは原料が違います。レンガや七輪にも使われているもので、茶系の色味が特徴です。漆喰と比べて少しザラつきのある質感をしています。

漆喰の4つのメリット

具体的に壁の素材として漆喰がどのような特性を持つものなのか、把握しておくべき内容についてご説明していきます。まずは、漆喰壁のメリットについてです。以下の4つが挙げられます。

  • 漆喰のメリット①:劣化せず汚れにくい
  • 漆喰のメリット②:火に強い
  • 漆喰のメリット③:湿度を整えてくれる
  • 漆喰のメリット④:遮音性がある

漆喰のメリット①:劣化せず汚れにくい

漆喰壁は、長い時間を経過しても見た目には大きな変化がほとんど出てきません。そのため、年月が経ってもきれいな状態を維持できるというメリットがあります。

また、漆喰の原料である消石灰には静電気をため込まない特性があるため、埃やゴミなどが付着しにくく、汚れにくいという点も利点です。

性質上貼り替えは必要なく、汚れた場合でも薄く上から塗り直すことが可能です。また、ちょっとした汚れであれば一般的な消しゴムなどでも除去できます。

漆喰はメンテナンスや手入れも簡単なので、汚れなどに神経質になる必要がありません。

漆喰のメリット②:火に強い

漆喰は燃えにくいという性質も備えています。建築基準法の中でも不燃材料として認められており、その特性は折り紙付きです。

屋内で出火が発生した場合でも、漆喰で囲まれていれば火が燃え広がりにくくなり、防災面でも優秀な素材と言えます。万が一にも火が出てしまうような事態でも、漆喰は化学物質と違って有害な物質を発生させません。

漆喰は、住宅における大きな心配事のひとつをカバーしてくれるというメリットを持っています。

漆喰のメリット③:湿度を整えてくれる

目に見えない漆喰のメリットとしては、調湿効果があります。漆喰はその性質から「呼吸する壁」とも表現されるほどすぐれた湿度調整機能を持っているのです。

漆喰には多くの細かな穴が開いており、これにより湿気を通すことが可能で、自然と湿度を調整してくれます。湿度が高ければ水分を吸い取り、湿度が低い際には余分な水分を放出してくれるため、快適な空間を保ちます。加湿と除湿どちらの機能も備えている理想的な自然素材と言えるでしょう。

特に四季の差が大きい日本は、ジメジメした梅雨や乾燥する冬といった湿度の変化に悩まされる地域なので、相性はとても良いでしょう。カビやダニなどの発生を抑えることが期待できるので、この点でも漆喰は非常に優秀な壁材です。

漆喰のメリット④:遮音性がある

漆喰は密度が高く仕上がるため、遮音性も高い壁材です。また細かな穴が多い多孔質であるため吸音性も高く、音が反響しにくいという性質もあります。近所への音漏れや外からの騒音などを気にされる場合は役立ってくれるでしょう。また、趣味で楽器など音楽を楽しまれる方にもオススメできる素材です。

漆喰の2つのデメリット

一方で、漆喰のデメリットについてもしっかりとご理解いただくためにご説明します。主なデメリットととしては以下の2点が挙げられます。

  • 漆喰のデメリット①:施工に手間や時間がかかってしまう
  • 漆喰のデメリット②:ひび割れが発生する可能性がある

漆喰のデメリット①:施工に手間や時間がかかってしまう

漆喰は基本的に手塗りとなるため、施工にどうしても一定の手間はかかってしまいます。

一般的に、養生後に下塗りと仕上げ塗りをする必要があり、貼るだけの壁材と違って工期も長くなってしまいます。そのため、施行費用で比較すると、少々お高めな素材ではあります。ただし、前述のとおり貼り替えは必要なく、長期的に見れば費用は抑えられる場合も多いので、他の素材とよく比較して検討されると良いでしょう。

漆喰のデメリット②:ひび割れが発生する可能性がある

漆喰壁は塗り固める仕様上、ひび割れが発生する可能性があります。施工環境や下地の影響を受けてひび割れる場合や、住宅自体が地震などで揺れてひび割れてしまうことが考えられます。

そこで、ひび割れの可能性を最小限に抑えるために、下地処理から仕上げ塗りまで丁寧かつ正しい手順での施工を行うことを意識しましょう。多くの場合は建築会社などに施工を依頼すると思いますので、漆喰の扱いに慣れている先を選ぶことも大切です。

なお、ひび割れの規模によっては薄く上塗りをすることで施工後でもカバーすることが可能です。

まとめ

近年では、自然素材の価値や魅力が再認識され始めており、漆喰に興味を持たれる方も増えてきています。様々な観点から、理想的な壁材として選ばれることも多い漆喰について、その特性、メリット・デメリットを良く理解しておくと良いでしょう。ご自身の理想的な家づくりに漆喰がマッチするかどうか、そこが一番大切なポイントです。

ラフェルムでは、コンセプトの一つとして漆喰壁にこだわりを持っており、施工実績も多くあります。もし漆喰壁に関してお悩みがある場合は、お気軽にお問い合わせください。