歩いて見たいフランスの田舎町 ブルゴーニュ・ボジョレー地方

フランスでは、街並みを楽しみながら気ままに散歩するのが日曜午後のポピュラーな過ごし方です。

スーパーや小売店は最近ようやく休日営業できるようになったばかりで、数年前の法改正までは日曜日は街全体が静まり返るとても穏やかな空気に包まれる日でした。そのため、のんびりと優雅な散歩を楽しむ習慣がフランス人の休日の暮らしに根付いているのです。

フランスでは、地方ごとに石や土の色合いが大きく異なり、そこに暮らす人々の美意識や気質によって街それぞれが違った表情を見せます。どの地域にも散策する楽しさがあり、フランス人が散歩を愛する理由もうかがえます。

この記事では、ワインの産地として有名なブルゴーニュ地方とボジョレー地方を取り上げ、典型的な風景や住まいの様子をご紹介します。休日に散歩をしながら垣間見れるような、さりげない地域の魅力や美しさを感じ取ってみてください。

ブルゴーニュ地方

まずはブルゴーニュ地方をご紹介します。

歴史ある建築とコロンバージュ

ワインの産地として有名なブルゴーニュ地方。

まず挙げるべきは、広大で美しいブドウ畑の景色です。どこまでも続く原風景的な美しさは、誰もをノスタルジックな気持ちにさせてくれます。また、市街地は穏やかな色合いを基調とした落ち着いた街並みで、歴史を感じる石造りの建築が目立ちます。

ブルゴーニュ地方の土壌は、少しベージュ色がかった白い石灰岩。築100年から200年を優に超える住宅や教会の建築には地元で採掘された石材が使われており、時を経た味わいを感じることができます。

ブルゴーニュ地方のディジョンは、14世紀から15世紀頃まで「ブルゴーニュ公国」の首都だった街。フランス王家と同格の勢力を誇る都市でした。

この地域に多い「コロンバージュ」と呼ばれる木組みの家は、少しでも面積を確保するために2階部分を道側に突き出した形が特徴です。当時の隆盛から、富に任せてフランドル地方(現在のベルギー)から瓦職人の技術を取り入れました。そこでモザイク模様のように色を組み合わせたアーティスティックな屋根が作られるようになり、600年を経た今でも街の各所に見ることができます。

アンティークが美しい「キヴィ家」の邸宅

赤ワインで有名な「ジュヴレ・シャンベルタン村」の「キヴィ家」は、村に100軒程あるワイナリーのひとつで、1706年築の地下カーヴと屋敷が歴史遺産指定を受けています。天井が低く感じられるほどの見事な一本梁が通っており、歴史を感じさせる存在感を放っています。床面は「トメット」と呼ばれる暖色の素焼きタイルで覆われています。

テイスティングルームの中心にある大きなテーブルを囲むように並ぶ様々な骨董品は、当主のジェラール氏が、子供時代に実際に使っていた畑作業やワイン造りの道具です。そのどれもが経年による深みを含んでいて、アンティーク好きにはたまらない空間でしょう。

地下のカーヴも木の棚やタルがそのまま保管されていて、歴史の趣きを感じられます。

歴史遺産にも指定されるキヴィ家のような古い邸宅は、フランス人にとっても憧れの的です。リビングには先祖から受け継いだ小物を並べたり、休日のアンティーク市でお気に入りの一品を見つけるために何度も足を運ぶ人も少なくありません。

アンティーク品は愛でるだけではありません。使われていた当時の状態に生き返らせるため、自身で修理や磨きなどの手入れを加えることも、フランス人は楽しむと言います。旧き良きものを愛し、大切に長く使おうという嗜好は、フランス人が日常から自然と行っている「リユース」「リサイクル」「サスティナブル」の精神とも通じています。

ボジョレー地方

続いてボジョレー地方をご紹介します。

ブルゴーニュ地方から車で1時間半ほど南下すると、ボジョレー地方に入ります。

日本ではワインの「ボジョレー・ヌーヴォ」で有名なこの地域は風光明媚で、温暖な気候と食とワインの豊かさが魅力の美しいエリアです。フランス第2の都市、リヨンへも1時間ほどで出られるため、郊外の家を求める層に大変人気があるエリアでもあります。

土壌はブルゴーニュ地方とはガラリと変わって花崗岩が中心です。ここでも地域の石材を建築に活かし、中には外観もオレンジ色にするなど、全体的に温かみのある街並みが特徴です。

黄金色に輝く「ピエール・ドレ」オワン村

ボジョレー地方には、黄金色の石を意味する「ピエール・ドレ」という地域があります。中でもオワン村は「フランスの最も美しい村協会」の認定を受け、居住人口わずか680人ながら、夏は散策を楽しむ観光客で賑わう美しい人気の村です。

村は、30分もあれば一周できてしまうほどの大きさです。1軒1軒の佇まいには住む人のちょっとした個性が見られ、統一感のある色合いの中に細かなこだわりが垣間見える、まさに「散策が楽しい地域」と言えるでしょう。

花を飾る家が多いのもこの村の特徴の一つです。初夏から盛夏にかけては、ライラック、バラ、藤、アジサイ、ラベンダーなど色彩豊か。秋にはススキ、山ブドウ、菊などが風情を演出しています。シーズンを通して飾れるゼラニウムやペチュニアなど鮮やかな花も多く見られます。

ガーデニングは、あまり贅沢にお金をかけなくても楽しめる趣味として、地域の人々に広く愛されています。四季折々の草木や花々を慈しみ大切に育てることで、心が穏やかになり優しい気風が生まれます。この地域の人と触れあえばそれをきっと感じ取ることができるでしょう。

新型コロナウィルスに伴う外出禁止令が出た折にも、ガーデニングショップには特別営業許可が下りたといいます。このことからも、この地域のガーデニングへの意識は特別なものであり、もはや生活の一部となっていることが伺えます。たとえ旅行やレストランなど外出することができなくても、自宅の庭で十分に楽しめるという心の豊かさすら感じられる素敵なエリアです。

石畳の路地や黄金色の美しい街並みを好んで、この村にはアーティストが多く住んでおり、沢山のギャラリーが軒を連ねています。温かな空気に包まれてゆったりと流れる時間の中では、良いインスピレーションも湧いてくるのかもしれません。町中のネコ達も、とてもリラックスした表情に見えてくる…そんな風景が広がっています。

村の人気レストランも温かみのある色合いの石造り。そこにレストランらしい飾りをつけることで、さりげない可愛さを感じられます。思わず写真を撮ってしまう方も多いとのこと。レストランのテラスからは、広々とした美しい景色が一望できます。自然と調和した空気を存分に楽しめるオススメの特等席です。

お店の看板も可愛らしくオシャレなものが多く、建物や景色と調和しています。

このオワン村の街並みには、アーティスティックなセンスと心地良い暮らしへのこだわり、1軒ずつ個性的な「その人らしさが見える家々」が並んでいます。小さな個性が至るところに散りばめられていて、訪れる度に新しい発見に出会える点も多くの人達を惹きつけている理由の一つでしょう。

まとめ

フランスの田舎町である、ブルゴーニュ地方とボジョレー地方。

どちらも建築物や街並みに、日本とは全く違う情緒があります。特に家々には、修復を重ねながら長く使われてきた歴史の深さが生み出す特有のあたたかみや味わいがあります。そこには、住む人々の暮らしや表情までもを感じさせる空気が流れています。可能なら、ぜひ一度これらの地域を訪れて実際に肌でその魅力を感じ取ってみてください。

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